
北海道・十勝 新得No.870★地図で見る →
旧狩勝線ミュージアム
狩勝峠を越えていた旧線は、長いトンネルを通る新線に役目を譲って捨てられた。新内の駅は二度と開かなかった。構内に残された寝台車を、有志が資料館に変えている。周囲の山には、この線路の築堤とトンネルがそのまま残る。
- 起点新得駅(JR根室本線・石勝線)
- 車で約20分新得駅から車かタクシー
- 旧狩勝線ミュージアム
狙い目
日本の保存鉄道はたいてい、現役の線路のそばか、町なかの公園にある。ここは違う。あった場所にそのまま残っていて、市街から10kmの、ほとんど車の通らない道の先だ。運営は市の博物館ではなく有志の団体で、開いているかどうかは季節と人に左右される。しかも十勝の冬は長い。平日に人がいないのは売り文句ではなく、十勝の廃駅とはそういうものだというだけの話だ。
場所
北海道のほかの記事 102件・地図で開く →見どころ(歩く順)

- 蒸気機関車 59672峠を担った国鉄9600形。構内にそのまま据えられている
- ナロネ21・ナロネ22夜行特急を走った20系のA寝台車2両。寝台は組まれたまま残る
- ナハネ203両目。車内が資料室で、旧線の記録と鉄道模型のジオラマが置かれる
- 新内のホームと構内草のなかに駅の輪郭が読み取れる。車両のぶんだけ線路が残る
- 構内から続く旧線跡築堤・大カーブ・トンネルが山へ続く。町の指定文化財
実際の行き方
- 札幌または帯広から特急「おおぞら」「とかち」で新得駅へ。
- 新得駅から国道38号を北へ、タクシーか車で新内駅跡まで。
- 機関車とホームを見てから、客車のなかの資料館に入る。
- 構内から旧線の跡へ出て少し歩き、新得へ戻る。
- 新得駅から車かタクシーで
- 新得は特急「おおぞら」「とかち」が停まる駅で、札幌からも帯広からも直通する。現実的な入口はここになる。駅から現地までは北へ谷を遡って20分ほど。あてになる路線バスはない。駅前のタクシーが代わりで、乗り継ぎが厳しいなら待っていてもらうのが早い。
- 特急に合わせて新得へ戻る
- 帰りも同じ道だ。新得に停まる特急は数分おきに来るものではなく、一日のなかに散らばっている。乗る列車を決めてから駅を出て、タクシーには迎えの時刻を伝えておきたい。現地で足を手配してくれる場所はない。
どんな場所か
新内駅は新得の市街から北へ出た、見通しのきく土地に立っている。かつて狩勝峠へ登っていく線路が通っていた場所だ。峠は十勝と内陸を分ける分水嶺で、旧線はそこを長いトンネルで抜けずに、大きな曲線と築堤で地表のまま登っていった。車窓が語り草になったのも、やがて捨てられたのも、同じ理由による。残ったのは列車の来ない駅である。ホームがあり、構内があり、短く残された線路の上に蒸気機関車と寝台車が置かれている。資料館はその車内にある。
おすすめの楽しみ方
現地には1時間半ほど見ておきたい。旧線跡を歩くつもりならもっといる。訪ねるなら雪のない季節に、しかも出かける前に運営の団体へ確かめてから。公表された時刻表どおりに人がいる場所ではないからだ。特急の時刻に合わせるなら、昼前に着いて午後の早い列車で戻る形が組みやすい。
歴史・背景
峠越えの旧線は、十勝と北海道の他の地域を結ぶ最初の道だった。長大トンネルを掘る力がまだなかったので、線路は地表を登っていくしかなかった。そこから見えた車窓は全国に知られた。1966年、長いトンネルを通る新線に役目が移り、旧線は同じ秋に廃止される。新内駅もこのとき消えた。ただし構造物は残った。新得町はのちに、この鉄道遺構群を町の指定文化財としている。新内トンネルのなかに育つヒカリゴケも別に指定されていて、遺構の側の一覧には橋梁、大カーブ、新内沢の大築堤、石造のアーチ溝橋などが並ぶ。
行く前に
- 現金
- 運営は市の施設ではなく有志の団体だ。料金や寄付があればその場で現金で渡すことになり、券売機はない。飲み物や食べるものは新得の市街で買っておく。この先に店はない。
- 行く前に
- 開いているかどうかは団体の都合と季節による。十勝の冬は長く雪も深いので、寒い時期は確かめないかぎり閉まっていると考えたほうがいい。旧線のトンネルや築堤には照明も人もいない。トンネルのなかのヒカリゴケは町の指定文化財で、触れてよい展示物ではない。
- 別ルート
- 帯広側からも同じ特急で新得に着くので、どちらから来ても入口は変わらない。峠を国道38号で越えてくる車なら、現地への分かれ道はその途中にある。
- 降りたあと
- 公共交通で行けるのは新得駅までだ。駅前から北へ道を走ると、国道38号をわずかに外れたところに旧駅の構内がある。機関車と客車は近づく道からも見えていて、自分たちのぶんだけ残された線路の上に並んでいる。