
愛媛南西・宇和島No.655★★地図で見る →
遊子水荷浦の段畑
宇和海に突き出した岬を、石積みの段に刻んで作られた畑。国の重要文化的景観に選ばれた今も現役の農地で、耕作者が使う石段を歩いて上まで行ける。
- 起点宇和島駅
- 約60分宇和島自動車・蒋淵線
- 降車水ヶ浦(宇和島自動車・蒋淵線)
- 徒歩
- 遊子水荷浦の段畑
狙い目
穴場というわけではない。国の重要文化的景観に選ばれ、県の観光サイトにも載っている。それでも人が少ないのは、宇和島からバスで1時間かかる行き止まりの岬にあり、入場ゲートも展示館もなく、見学する段取りが何も用意されていないからだ。代わりにあるのは、今日も誰かが耕している斜面である。
場所
愛媛のほかの記事 29件・地図で開く →見どころ(歩く順)

- だんだん茶屋海沿いに建つ休憩所と直売所。段畑を保全するNPOが運営している
- 石積みの段平均1メートル以上の高さに小石を積み上げ、一段ずつの畑地を支えている石垣
- 登り降りの石段耕作者が上の段へ通うために、石垣のあいだへ設けられた石の階段
- 入り江の眺め段の上から見下ろす宇和海。集落の港と養殖の筏が水面に広がる
実際の行き方
- 宇和島駅→水ヶ浦(宇和島自動車・蒋淵線、約60分)。
- 水ヶ浦バス停→海沿いの道を歩いて、休憩所と段畑の登り口へ。
- 畑のあいだの石段を上り、帰りのバスに間に合うよう同じ道を戻る。
- 宇和島駅から宇和島自動車・蒋淵線
- JR宇和島駅→(宇和島自動車・蒋淵線で約60分)→水ヶ浦。道はリアス式の海岸線をなぞって続くため、地図上の距離のわりに時間がかかる。本数の少ない路線なので、出発前にその日の時刻を確認しておきたい。
- 水ヶ浦から戻る
- 帰りも同じ蒋淵線で宇和島駅へ。便が少ないので、斜面を上り始める前にバス停で帰りの時刻を控えておくとよい。この岬には代わりになる足がほとんどない。
どんな場所か
水荷浦は、宇和島市遊子の海に細く突き出した岬の集落だ。集落の背後は平均約40度という急斜面で、その傾きを人の手で段に刻み、一段ずつ小石を積んだ石垣で押さえてある。モルタルを使わない、積むだけの石垣である。ここでは畑と漁は最初から一組だった。同じ家が斜面を耕し、眼下の湾でイワシを追った。段畑が残しているのは、風景というより半農半漁という暮らしの形そのものだ。
おすすめの楽しみ方
時間の組み立ては、光より先に帰りのバスで決まる。この岬の便は少なく、最終の1本が滞在の長さを決めてしまう。道路から撮って引き返さず、石段を上まで歩く時間を確保しておきたい。車なら、宇和島から続く海沿いの県道そのものが半分は目的になる。
歴史・背景
この斜面で作られてきたものは、時代ごとに入れ替わってきた。江戸時代後期にはムギとサツマイモ。明治に養蚕が興ると、蚕の餌となるクワの畑に変わった。戦前から戦中にかけては再びサツマイモが大規模に植えられ、1955年以降は柑橘へと大きく転じる。その後、多くの段は耕作放棄され、いま残る畑では主にじゃがいもが育つ。国が重要文化的景観に選定したのは2007年7月26日、「水田・畑地などの農耕に関する景観地」としてだった。
行く前に
- 現金
- 段畑は入場券のいらない現役の農地で、料金所はない。車なら海沿いに無料の駐車場がある。バス代と、休憩所での買い物のために現金を用意しておきたい。
- 行く前に
- 海沿いの道から上は、すべて誰かの耕作地だ。石段と通路だけを歩き、畑には踏み込まないこと。湾からの風がまともに当たり、雨のあとは石が滑る。天気のいい日中に行くのがいい。
- 別ルート
- 車なら宇和島から愛媛県道346号蒋淵下波線に入り、遊子の海岸沿いを走って岬の先の水荷浦へ。
- 降りたあと
- 水ヶ浦のバス停に降りると、段畑はもう頭の上にある。海沿いの道を歩いて畑の下の休憩所へ。石段はその裏から始まる。