山陰・境港No.432★★地図で見る →
松葉がに
山陰で雄のズワイガニだけが名乗る名前。日本海の冬にこの海岸へ揚がる。境港はその水揚げが全国有数で、卸売市場の隣にある水産物直売センターが、一般の客が買える場所になっている。

この蟹には呼び名がふたつある。山陰で雄のズワイガニは松葉がに、ひとまわり小さい雌は親がにと呼ばれ、売り場も別になる。境港はそのズワイガニと紅ズワイガニの水揚げが日本一で、生の本マグロでも日本一を重ねてきた。ただし、その現場は外から見えない。船が着けるのは一般に開放されていない県営の卸売市場だからだ。入り口になるのは、その隣に建つ建物である。山陰旋網漁業協同組合が営む水産物直売センターで、こちらは誰でも入って、店の人と話して買える。
なぜ穴場のままか
有名な蟹であって、隠れた蟹ではない。11月に入れば海沿いの宿は蟹づくしの献立を組み、値も相応に上がる。それでもここが効くのは、予約もコースも要らないからだ。朝から開いていて、値段は一杯いくらで示され、買ったものをその場で食べられる席がある。
歴史・背景
この海岸でズワイガニが揚がってきた歴史は長く、呼び名は土地に残った。よそでズワイガニと呼ばれるものが、ここでは松葉がにになる。しかも名乗れるのは雄だけだ。境港はやがて日本海側で最大の水産基地に育ち、冬は蟹、初夏は生の本マグロという漁のリズムを持つようになった。それを引き受ける卸売市場は観光施設ではなく、あくまで働く現場である。同じ水揚げを一杯ずつ買える形にするために、その隣へ据えられたのが直売センターだった。
見どころ(歩く順)

- 鮮魚の売場
- ひとつ屋根の下に並ぶ12の水産物店。鮮魚・蟹・干物・練物がひと通り揃う
- 蟹の売場
- 冬は松葉がに、それ以外の時期は紅ズワイガニ。値段は一杯いくらで示される
- イートインと2軒の食事処
- 買ったものをその場で食べられるフードコートと、その日の水揚げを丼にして出す2軒
- 鳥取県営境港水産物地方卸売市場
- すぐ隣で動いている競りの場。船が着き、水揚げが上がる本体
- 国道431号沿いの岸壁
- センターの正面に開ける港。この穏やかな水域が山陰の漁の拠点をつくった
おすすめの楽しみ方
開くのは朝8時ごろ。観光バスが着く前の早い時間がいちばん品が揃っていて、夕方4時に向かって静まっていく。雄の松葉がにが揚がるのは11月から3月にかけてで、その間は売場の主役が完全に入れ替わる。季節を外しても紅ズワイガニ、白イカ、干物が並ぶので、来る意味は消えない。順番は「買ってから食べる」。フードコートへ持ち込めば、その場で開けて食べられる。
実際の行き方
- 米子駅→境港駅(JR境線・約45分)。
- 境港駅→境港水産物直売センター(タクシー約5分/路線バス約15分/港沿いに東へ徒歩20分あまり)。
- 館内は鮮魚の売場から。奥に蟹の売場がある。
- 最後はイートインか、併設の食事処で。
- 米子駅からJR境線
- 米子駅→境港駅、JR境線で約45分。短い支線で本数も多くはないので、着いてから時刻表を見るのではなく、出る前に読んでおきたい。米子駅は山陰本線の両方向への乗換点でもある。
- 境港駅から戻る
- 同じ境線で米子へ。市場は午後に店じまいへ向かい、列車もそれに合わせて間隔が開く。買い物を始める前に帰りの列車を決めておくと安心だ。冷やしておきたいものは最後に買う。
行く前に
- 現金
- センターに入場料はなく、支払いは店ごと。値段は一杯いくらで示される。カードが使えるかは店によって違うので、現金は持っておきたい。駐車場は無料。
- 定休
- 休みは火曜。ただし一部の店は火曜も開けている。営業はおおむね朝8時から夕方4時ごろまで。蟹の季節は同時に日本海から風が吹きつける季節でもあり、駅から歩くなら防寒はしっかりと。
- 別ルート
- 車なら米子自動車道の米子ICから約25分。無料の大型駐車場と観光バスの枠がある。弓ヶ浜半島を回るなら、こちらのほうが動きやすい。
- 降りたあと
- 境港駅は町の西の端にあり、市場はそこから港沿いに東へ。国道431号を進む。タクシーで約5分、路線バスで約15分、歩けば20分あまりかかる。